貸事務所とレンタルオフィスの違い

■貸事務所のメリットとデメリット

【メリット】

1.自由にレイアウトや内装を変更できる

貸事務所は賃貸契約に基づき、その範囲内で自由にレイアウトや内装を変更できます。
業務に必要な設備においても、実費にはなりますが導入できます。

2.広々とした空間

貸事務所として貸しているビルは店舗用ではなくあくまで事務所専用のビルが多いと思います。
そのため広々と使用できますし、社員を増やしていく予定であっても心配ありません。

3.信用度が高い

一般的に新しく取引する会社が信用できるかできないか、
その判断材料となるひとつがオフィスではないでしょうか。
オフィスとしてマンションや自宅を利用されている方もいますが、やはり信用性に欠けてしまいます。
貸事務所であれば信用度が高いため、初めて取引をする相手でも安心できるのではないでしょうか。

4.来客対応が可能

貸事務所は広々として空間が大きく取れるため、応接室を設けることが可能です。
来客時には基本的に応接室を使用しますが、応接室がない場合、来客があった際に困ります。
応接室があればいつ来客があっても問題ありません。

【デメリット】

1.初期費用が高い

貸事務所は基本的に敷金・礼金・仲介手数料などがかかります。
その他、前家賃も支払うことになるため、
平均して毎月の賃料の半年分以上を最初に支払うことが多いようです。
また、オフィスとして使用するために必要なデスクや椅子、
電話機やFAX、パソコンなども揃えなくてはなりません。
応接室を設ける場合、ソファやテーブルも必要です。
このように貸事務所を借りるとなると
初期費用が高いことが一番のデメリットと言えるでしょう。

2.すぐに業務を開始できない

貸事務所を借りるとなると、入居審査に始まり、
賃貸借契約、内装工事や設備工事などがあるため、契約後すぐに業務を始めることが難しい場合があります。
既にオフィスとして完成している状態の物件であれば、入居審査・賃貸借契約後に必要なものを運ぶだけで業務を始めることが可能ですが、なかなかそのような物件はないものです。

■レンタルオフィスのメリットとデメリット

【メリット】

1.オフィスに必要な家具・備品が完備されている

レンタルオフィスは最初からデスクや椅子といった家具や備品が揃っているので
初期費用を抑えられます。
工事の必要もないことからすぐに業務を始められるでしょう。

2.立地が良い

レンタルオフィスの多くは駅の近くや街の中心部にあります。
アクセスが良いため利便性が高いことが大きなメリットではないでしょうか。

3.必要に応じて追加できる豊富なオプション

会議室や応接室の利用、秘書業務など
必要に応じて追加利用できる豊富なオプションが用意されていることがあります。

4.オフィスサイズの選択ができる

社員数に合わせてオフィスサイズを選択できます。
また社員数が増えた場合には人数に合ったオフィスに移動することも可能です。

【デメリット】

1.自由に内装やレイアウトを変更できない

レンタルオフィスは貸事務所のように自由に内装やレイアウトは変更できません。
なぜならレンタルオフィスはあくまでレンタルであるためです。
デスクや椅子など使い勝手が悪いと感じても入れ替えることはもちろん不可です。

2.プライバシーに問題あり

レンタルオフィスの中には隣のオフィスとパーテーションのみで仕切られているだけの場合もあります。
そうなると業務内容をはじめ、話し声も全て隣に丸聞こえです。
もちろん隣の声も全て聞こえてくるので、業務に集中できない可能性があります。

3.費用が高額になることがある

必要なオプションの追加ばかりしていると、料金が高額になることがあります。

■まとめ

貸事務所とレンタルオフィスどちらにしようか迷っているのであれば、
まずは将来性をよく考えるようにしましょう。
貸事務所、レンタルオフィスともにメリット・デメリットが存在します。
それをよく理解した上で、将来的にどのような会社にするべきなのかじっくり考えて答えを出しましょう。

テナントの原状回復について知ろう

■原状回復のガイドライン

テナント退去時には原状回復をするのがルールです。
テナントを借りた時の状態に戻すということですが、長年テナントを使用していると内装や設備の状態も変化してきます。
それらすべての費用を負担する必要があるのかどうか、よくわからない場合もあるでしょう。
そこでここではテナントの原状回復について説明していきたいと思います。

【原状回復ガイドラインとは】

テナントをはじめ、賃貸物件においての「原状回復ガイドライン」というものをご存知でしょうか。
原状回復ガイドラインとは国土交通省が公表しているものです。
テナントをはじめとした賃貸物件の退去時のトラブルや原状回復トラブルを未然に防ぐために公表されました。
ガイドラインには借り主として負担する場合や、逆に借り主に原状回復の義務がない場合のことなどが記載されています。
但し、ガイドラインはあくまでも指針です。
実際には当事者間の契約が優先されます。
つまり、最初の賃貸借契約で定められていることを把握しなくてはなりません。
退去の際にどのようなことをすれば良いか、
どこまで借り主が負担するのかなど賃貸借契約を確認するようにしましょう。
また、賃貸借契約書に退去の原状回復について詳しく記載が無い場合は、
不動産会社などに確認しましょう。

■テナント側の負担かオーナー側の負担か

原状回復が退去条件になっている場合でも、
どこまでがテナント側の負担になるのか、どこまでがオーナー側の負担なのか曖昧です。
先程紹介しました国土交通省が公表している原状回復ガイドラインによる説明は以下のとおりです。

【テナント側負担】
・通常使用を超えるような破損や汚損、その他汚れや損耗については借り主負担
・掃除や手入れを怠ってできてしまったシミやカビの汚れについては借り主負担

【オーナー側負担】
・通常使用における消耗の修繕費用はオーナー負担
・経年劣化におけるものの修繕費用はオーナー負担

原状回復についてはさまざまなトラブルがあります。
テナントは一般住宅とは違うため、
敷金返還や原状回復に関するトラブルがより多いのだと言えます。
特に飲食店で厨房を設置しているケースでは、
お客様の出入りによって内装の傷みもあるでしょうし、
調理による建物や設備の傷みも大きいのではないでしょうか。

【飲食店において原状回復義務が発生するケース】
1.調理による床・壁・天井の油汚れ
2.内装についてしまったタバコのヤニ汚れや臭い
3.床に染み付いてしまった食べ物の汚れやシミ、カビ
4.エアコンなど最初から設置されていた設備にこびり付いた油汚れやタバコのヤニ汚れ

【原状回復におけるよくあるトラブル】

1.テナントを借りた時に新品でなかったものに対し、退去時に新品の見積が来た

テナントを借りた時、最初から備わっていたものがある場合によく起こるトラブルです。
そもそも新品ではなかったのに、
退去時の原状回復において貸主側から新品への交換の見積が来たら確かにトラブルになるでしょう。

2.壁紙の汚れはほんの一部であるのに全面張替えの見積が来た

これもよくあるトラブルのひとつです。
借り主は一部分だけ張り替えれば済むのではないかと思ってしまいます。

上記のようなトラブルをはじめ不思議に思うことがあれば、
契約内容と使用状況をしっかり確認し、オーナー側と相談するようにしましょう。

■まとめ

テナントの退去時に一番起こりやすいトラブルが「原状回復」についてです。
なぜなら借り主が負担するものなのか、オーナー側が負担するものなのか実際には曖昧であるからです。
もちろん借り主が持ち込んだものは全て撤去するのですが、
問題は元々あったものや内装に関してではないでしょうか。
ご紹介したようなトラブルに遭わないためにも、
賃貸借契約をする際には退去時の原状回復の条件を双方で細かく決めておくと良いでしょう。