テナント物件の引き渡しの際に注意すべきこと

■重要事項説明の内容をしっかり把握する

気に入ったテナントが見つかったら、今度は契約に進みます。
契約の際には、重要事項説明を宅地建物取引士から受けることになります。
重要事項説明とは、不動産取引において、契約の前に必ず行うよう「宅地建物取引業法」で定められているものです。
入居者(契約者)に対して、物件の状態や契約内容など詳しい説明がなされます。
その重要事項説明の中で、仮に納得できない事があれば、契約を中止することも可能です。既に申込金などを預けている場合でも、全額返金してもらえることになっています。
重要事項説明では主に「物件の基本情報や設備」「安全性に関すること」「家賃ほか費用金額と支払条件」「契約に関すること」「禁止・注意事項」といったことが説明されます。
確かに不動産の専門用語も出てくるため、理解できない事もあるでしょう。
もし分からないことや疑問に思うことがあれば、曖昧にせず必ず質問するようにしましょう。
曖昧にしてしまった場合、契約後に、そんなハズじゃなかった、なんて後悔することになるかもしれません。

後々トラブルになる事が多いのが「敷金」や「保証金」の返還についてです。
費用や契約期間、契約更新、そして退去時の返金についても契約前の重要事項説明に折り込まれています。
後々トラブルにならないためにも、退去時(契約終了時)の事もきちんと確認しておくことが大切です。
また、テナント物件を借りて店舗をオープンするとなると、オープン後多くの方が店舗にいらっしゃることになるかと思います。
お客様を危険に晒すことの内容、重要事項説明の際には安全性に関することもきちんと聞いて確認しておきましょう。
例えば、物件が「造成宅地防災区域」や「土砂災害警戒区域」内にあるかどうかもきちんと説明を受けなくてはなりません。その他にも耐震診断の有無や、石綿使用調査の有無の説明もしっかり受けましょう。

鍵と図面

■設備動作の確認

テナント物件の多くは借主が内外装工事を行います。
但し、目先の表面的なことばかりを気にしてしまい、最も大切な点を見逃してしまう事が多々あります。
その中でも確認不足になりがちなのが「設備動作の確認」です。
設備動作の確認を怠ったまま店舗をオープンさせてしまうと大変な事になります。
修理や買い替えなどで時間が掛かってしまい、結局営業が滞ってしまったなんて事がないようにしなければなりません。
まずは設備動作の確認、それを頭にしっかり入れておきましょう。
また、設備についての保証書があるのか、また保証期間や保証範囲はどこまでなのかも確認しておきましょう。
保証書がない、または保証期間がないなんて場合、費用面で大変な思いをするのは経営者です。保証書があっても、保証範囲を確認せずに安心してしまっている方もいらっしゃいます。いざ修理が必要となった時、その故障が保証範囲外だったら余計な出費になってしまいます。
店舗を成功させるため、そして来て頂くお客様に安定したサービスを提供するために、表面的なことだけでなく、設備動作の確認や保証内容の確認をしっかり行いましょう。

■まとめ

テナント物件の契約前に行われる重要事項説明の内容をきちんと把握することは大切です。
仮に不足している項目があれば、自ら質問し、説明を受けることも重要です。
その際は、口答だけで済まさずに書面にも追加してもらうようにしましょう。
また、内外装工事の他、設備工事においても同じです。
細かな部分まで説明を受け、納得してから工事を進めるようにしましょう。
契約を済ませてから、あれはどうだったか、あの説明はあったか、なんて事にならないためにも、十分に説明を受けること、そして口答約束で済まさずに書面に残すことも忘れずにしましょう。